2021.10.03 イージージェットJr.
キノコ廃菌床の有効利用(森産業式の菌床処理)(導入先:しいたけ生産工場 様)
栽培後の廃菌床を全量リサイクル化できたことで、ゼロエミッション&処理コスト削減を実現できた。
場所 | 和歌山県 |
処理物および処理量 | 廃菌床 3t/日 |
概要 | 栽培後の廃菌床を全量リサイクル化できたことで、ゼロエミッション&処理コスト削減を実現できた。 |
実施策と効果
処理量の増加1 | 新規に施設建設し、堆肥化事業を開始しました |
処理量の増加2 | 高圧通気方式を採用し、限られたスペースで効率よく堆肥化することで、一般的な方式より処理量を拡大できました |
コストダウン | 切り返し作業等をなくすことで、少ない人数のオペレーションが可能となり、低コストでの処理が実現しました |
堆肥品質アップ | 分解しにくい木質系の資材を、高圧通気によって短期間で堆肥化しています。臭気のない高品質な堆肥化が実現しました |
問い合わせの多いキノコ菌床のリサイクルについて、少し書いてみたいと思います。
キノコ菌床は国内で年間30万トン前後の量が廃棄されていると推定され、有望なバイオマスであるものの、実態としてうまくリサイクルが進んでいない現状もあるようです。
以前にも何度かアップしましたが、ミライエではキノコ廃菌床をうまくリサイクルする仕組みを引き続きご提案したいと考えています。
まず、国内のキノコ菌床についてですが、供給メーカーとして森産業(群馬県)と北研(栃木県)という2社が大きな市場シェアを占めています
この2社の栽培方式には違いがあり、排出される菌床にもそれぞれ特徴がありますので、その特徴に応じたリサイクル方法について書きたいと思います。
まず森産業方式についてですが、廃菌床は比較的水分が少ないことが特徴です。含水率はだいたい55%前後であり、発酵が始まると、高温を発しながら含水率はさらに低下します(左図参照)。
従って、森産業方式の菌床のリサイクルとしては、こうした特性を利用して、堆肥ではなく”敷料生産”を行うのがお勧めです。
畜産では畜舎の床敷(敷料)が慢性的に不足していますので、相応の市場性が見込めると考えられるからです。
画像は、フレコンバッグにて廃菌床を好気発酵させている例です。簡易的にやるのであれば、この写真のようにフレコンバッグとイージージェットJr.を用いて発酵させることも可能です。
フレコンバッグ1袋には約1m3の菌床が入ります。
バッグ1袋に1本のイージージェットJr.を挿しこんで発酵させます。
あるいは堆肥舎などのスペースがあれば、床面にイージージェットJr.を設置しても良いでしょう。
例えば5m×10mのスペースがあれば、50m3程度の菌床を発酵乾燥させることが可能です。いずれの場合でも、建物は工場の遊休スペースか、農業ハウスなどで十分です。
発酵熱を利用した乾燥法は、重油などを使う乾燥法と比べてもエネルギー使用量が格段に少なく(エネルギーコストは重油方式の1/5~1/10)、経済的です。
ちなみに、ブロワの常温送風だけでも徐々に水分を飛ばすことができますが、発酵温度が上がらないため完成品の敷料利用には適しません。
畜産向けの敷料として供給する場合は、温度を上げて滅菌するのが望ましいと言うのがその理由です。
必要な設備は、菌床の破砕機、搬送装置、イージージェットJr.、コンプレッサーなどです。生産規模にもよりますが、廃菌床1kgあたり設備償却費が4.2円、電気代が0.8円の合計5円程度です。
一方で敷料の販売価格は1kgあたり7-12円程度となりますので、早期の費用回収も可能です。参考まで、一般的に流通している敷料の相場ですが、オガコの場合は15-25円/kg、モミガラの場合は5-10円/kgといったところです。
廃菌床は吸水性も良く、さらに家畜糞と混ぜると非常によく温度が上がるうえ、セルロースの分解が早いなど、敷料としての優れた点が多くありますので、従前の敷料資材にもひけを取らない資材と言えます。