低コストで悪臭の出ない、生ごみ堆肥化リサイクル施設
場所 | 長野県 |
処理物および処理量 | 生ゴミ 1t/日 |
概要 | 町内で発生する生ゴミを、リサイクルプラントで堆肥化。ゴミの焼却処理費を削減 |
実施策と効果
処理時間の短縮による処理量の増加 | 前処理→発酵工程での設備で、適切な能力の機種選定により処理時間を短縮しています |
発酵不全の解消による悪臭の低減 | 通年で好気発酵維持し、悪臭がほとんど発生しない施設が実現しました |
通気の改善による発酵温度上昇 | 外気温マイナス20℃でも、施設内は70-80度の高温発酵を維持します |
副資材の見直しによるコストダウン | 育成牛糞を副資材として利用することで副資材費ゼロを実現。オガコ等購入費(年間300万円)削減しています |
原料の粉砕や異物除去装置の 導入による堆肥品質アップ | 前処理装置で原料粉砕することで、発酵期間短縮と堆肥品質の向上を実現 |
長野県にお納めした生ゴミのリサイクル施設の事例です。寒冷地の施設ですが、冬期でも安定稼働しています。
長野県長和町にお納めしたこの施設は、町内の観光牧場の敷地内に建設されており、処理能力250トン/年、週2回の稼働で、町民の出す生ゴミを回収してリサイクルし、良質な堆肥を生産しています。
この施設の特筆すべき点は2つあり、1つは臭気がほとんどないこと。(これは視察に来られた方が、どなたも驚かれます) そしてもう1つは、牛糞を副資材として利用していることです。
臭気についてですが、搬入された生ゴミを直ちに牛糞と混ぜイージージェットの上に堆積することで、短時間で好気発酵が始まり、生ゴミ特有の悪臭が軽減されます。施設には脱臭装置が不要なため、コストを安く抑えることができました。
また、通常の堆肥化施設ではオガクズやモミガラなどの副資材を用いますが、この施設では牛糞を利用するため、副資材の購入費も発生しません。
牛糞は、モミガラなどと比べると含水率も高く、普通は副資材として使われることはありませんが、発酵過程でイージージェットを使って強制的に酸素を送り込むことで、高温で発酵し始めます。
出来上がり堆肥の水分はやや高いのですが、臭気が全くない良質な堆肥ができます。堆肥は地元住民に配布し、お使いいただきます。
処理フローですが、まず週に2回、町内で発生した生ゴミ(家庭ごみと、事業系ごみ)を回収し、搬入します。
ごみ袋は、この施設用に用意された生分解性の袋を使っていただくルールで、袋ごと破砕機で破砕して牛糞と混ぜています。
あとは原料をイージージェット槽の上に載せ、45日で発酵終了です。この時期、現場の外気温はすでにマイナス5℃ですが、発酵温度は80度を超え、順調に稼働しています。
作業は地元のシルバー人材の方1名が担当されますが、ゴミ計量、破砕、混合、清掃などの作業をすべて行っても、お昼には作業が終了します。
ところで、多くの自治体が生ゴミ処理の経費負担に頭を悩ませています。
焼却炉での生ゴミ処理は多額のコストが掛かり、人口1万人規模で年間約1.5億円の経費となります。堆肥化によるリサイクルであれば、焼却処理の1/2~1/3のコストに抑えることが可能です。
本施設は、牧場に設置することで住民同意も得やすく、高額なゴミ処理経費を削減できるという点で、これからの自治体の生ゴミリサイクルの推進に寄与できるものと期待しています。
また、牧場側にとっても、牛糞を副資材に使える、新たな収益源が生まれるといったメリットがあり、さらに住民にとっても、ゴミ処理の財政負担が減ることで行政サービスの向上が期待でき、加えて良質な堆肥が無償で入手できるなど、3者ともに大きな利益を産み出す取り組みだと考えています。
本施設の例では、ゴミ焼却場に持ち込まれる可燃ゴミ量が、年間200t削減できました。
当社ではこうしたプラント型の堆肥化施設設計でも、多数の実績があります。豊富なバックデータから最適な機種選定と行い、稼働後の管理費等についての精緻なシミュレーションを行うことが可能です。
臭気測定成績書
施設の出入り口(風下側)で計測した臭気データです。