Column

第1話 ミライエの最初のお客さん(あとがき)

第1話のコラムに書ききれなかったことを、補足いたします。
発酵課題についての考察、営業活動に対する思いを載せました。

コラムに書ききれなかったことを補足。。

1.酸素があるのに嫌気性?
堆肥中の酸素濃度を計測するというのは、この案件が初めてだった。
スクープ槽の原料からは腐敗した生ごみ特有の酸っぱい匂いがしているし、温度もpHも低く、明らかに嫌気状態を示していた。

でも、酸素濃度を測ってみると19-20%もある。「これはどういうことだろう?」
大気中の酸素濃度が20.9%なので、ほとんど消費されていないことは分かる。しかしなぜ酸素があるのに嫌気状態のままなのか、実は今でも明確な答えは持ち合わせていない。
これはあくまで私感に過ぎないが、「酸素があるだけでなく、そこに風が通ることが重要なのでは?」という仮説を持っている。

そもそも生ゴミや汚泥はpHが4前後と低い。堆肥化をする過程でpHが上がるのは、原料内の好気性菌が働いてアンモニアを出すからだ。アンモニア水溶液はその濃度にもよるが、pHが11前後ある。アンモニアによって堆肥原料がどんどんアルカリ側に傾き、アルカリ環境が好きな好気性菌がますます活発に働いて酸素を消費し、さらに温度が上がっていく。
pHと発酵温度には明確な相関があって、たしか10年くらい前(2014年頃)に当社の技術部員が生ごみを使った試験で両データの推移を記録したものもある。

私の仮説としては、嫌気性菌が支配的な初期状態で、ただ酸素があるだけでなく、そこに風が通ってアンモニアが原料全体に広がることで、徐々に好気性菌がシェアを高めるのでは?という考えを持っている。(合っているかは不明)
この点、誰か答えを知っていたら教えていただきたい。論文などは当時探したけど、見つからなかった。

2.営業の話
第1話のコラム内では「努力と熱意が実って受注した」とサラッと書いたが、実際にはかなり苦労していた。
まず現場の工場長にはデータと推論から導いた提案を説明して、かなり納得してもらっていた。
しかし決裁権があるのは社長だ。なので現場の後は社長とも何度も面談した。

そもそもイージージェットを売り出したばかりの頃。導入事例もゼロに等しく、先方の社長はなかなか首を縦に振らなかった。
ただこちらの熱意を感じてくれてたのは確かで、提案の技術的な点にはある程度納得いただいた。
とは言え、何度も社長を訪ね、気づけば営業期間は4か月になっていた。

相手社長も、提案内容そのものに異論はないというところまで来ていたが、そもそも上手くいってない赤字の堆肥化施設にさらなる設備投資をすることに、抵抗があったのだ。

経営者というのは出来るだけお金が出ていかないようにと考える。使うお金は1円でも少なくしたいし、支払は1日でも先延ばししたい。 なので商談の最後はいつも話をはぐらかされる。

そこで社長にリース導入の提案をした。毎月の支払いが数万円で済む。 これでようやく納得してくれ、導入が決まった。

しかしまだ安心できない。私は即座にカバンから「導入申込書」を取り出し、今この場で判を押してくれと迫った。 なかなか煮え切らない社長は、あとで心変わりすることがよくある。以前に別の牧場で、口頭の社長同意を得たのにその後はぐらかされ、結局失注した経験があったので、同じ轍を踏むわけにいかなかった。

この日は無事に申込書をもらって帰ることができ、長かった営業もなんとか結実した。これがイージージェットの最初のお客さんである。 今であればイージージェットのデータもあるので、導入の経済効果をデータで示すこともできる。そうすればもっと早く決済が降りていただろうが、この時はそんなデータを持ち合わせていなかった。

何事も最初のひと転がりというのは、本当に苦労する。

writer

島田社長

(株)ミライエ 島田社長

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1970年生まれ。靴の製造メーカー勤務を経て、2000年に家業の第一コンサルタント(現ミライエ)に入社、2006年に父親から社長を継承した。
現在のミライエに社名変更後、環境機器の専業メーカーとして全国に数百の納入先を開拓している。

プライベートでは料理好きで、クックパッドには100種類のレシピを載せており、ワイン好きでもある。
ワンちゃんとのレストランめぐりとボクシングが趣味で、好きな言葉は『笑う門には福来る』!