快適な環境を実現するための堆肥化の悪臭コントロール手法
堆肥化プロセスにおける悪臭問題に焦点を当て、効果的な悪臭対策について解説します。堆肥化施設や農業経営者が悪臭問題に取り組むための有効な戦略や技術について紹介します。
発酵不全を解消する
堆肥化施設の悪臭問題の解決に際し、脱臭装置の追加や改善は多額のコストがかかります。
まずはいかに原臭濃度を低減するかを検討することが重要です。
混合物(原料+副資材)の性状を変える
混合物の性状を変えることで発酵不全が改善されることがあります。
特に生ゴミや汚泥の堆肥化施設において、原料の大きさが均一でなく、大きな団塊状の原料が混ざっている、あるいは副資材との混合がうまくいっていないといったケースがあります。
こうした場合は前処理装置の追加や変更等で、発酵不全が解消されることがあります。
通気の改善
発酵不全による悪臭の多くは、嫌気性発酵による複合臭が主因となります。
悪臭物質の種類が多い場合は、脱臭装置による対策が困難。
費用も高額になるため、まずは好気性発酵を促進することが重要になります。
通気改善により堆肥原料に適切な酸素供給を行うことで、悪臭の低減を図ることが可能です。
また、切り返し時に拡散する臭気がクレームの原因となることも多くあります。
この場合でも、通気方法の変更により、切り返し作業を減らして悪臭の発生機会を減らすことが可能です。
施設内換気を改善する
堆肥化施設の悪臭を抑える方法の一つとして、施設内に常にフレッシュエアを供給して空気の循環を促し、悪臭ガスが施設内に滞留することを防ぐ方法があります。
この方法では、同時に施設内の結露の防止にも役立ちますので、発酵不全の解消や施設の長寿命化、作業環境の改善などの効果もあります。
換気能力や換気方法の適正化
換気設備等の追加で、換気能力の適正化を図ります。
また、吸気と排気の方向などを制御したり、施設内の室温が換気によって低くなりすぎたりするのを防ぐための設備改善の手法もあります。
脱臭装置を設置する
発酵工程や換気改善でも取りきれない悪臭については、脱臭装置の追加や見直しが必要になります。
脱臭装置は大きく分けて、化学的脱臭(スクラバ等)と生物脱臭(バーク脱臭やロックウール、ガラス発泡など)があります。
それぞれ性能や価格、ランニングストや維持管理性、臭気適性などが異なります。
脱臭装置は比較的高額な投資となりますので、施設の状況に応じた方式の選定、規模の算出、ダクトの構造やレイアウトなど、適正な脱臭設計が重要です。
ガラス発泡方式導入による悪臭の低減
ガラス発泡材を使った脱臭システムは、鳥取県が取得した特許により生産したガラス発泡材を用いており、鳥取県中小家畜試験場にて開発した、生物脱臭方式の脱臭システムです。
生物脱臭の中で最高クラスの脱臭性能を誇り、基材の交換が半永久的に不要など、維持管理性に優れた技術です。
小規模から大規模まで適用範囲が広く、また養鶏や養豚、堆肥化施設などの高い原臭濃度にも対応できます。
2m以上の堆積も可能ですので、設置面積の縮小を図れます。
既存の生物脱臭方式の改善
ガラス発泡材は、既存の生物脱臭システムの交換基材としても使用可能です。
既存施設の脱臭基材の一部または全部をポーラスαに入れ替えることで、簡単に脱臭性能を向上できます。