堆肥処理量増加を実現する戦略と実践的なヒント
堆肥処理量を増やすための具体的な戦略を紹介し、その戦略を実践するためのヒントを提供します。例えば、処理設備の最適化、通気の改善、適切な混合物、プロセス効率の向上などが挙げられます。
施設を拡充する
施設の拡充には、施設面積を大きくする、設備の能力を引き上げる、の2つの方法があります。
処理量を増やす上で、施設の拡充は最も確実な方法となります。
ただし多額のコストがかかるケースも多いので、まずは他の方法で処理量を増やせないかなど、あわせて検討することも重要です。
施設面積の拡充
施設の発酵面積を拡張すると、その分確実に処理量が増えます。
ただし施設面積が増加した分、動線も長くなりますので、重機等の能力や作業人員数などに無理がないか、計画の立案が必要です。
また、同じ面積でも動線計画の違いで、1日あたり作業量に差が出ますので、効果的な施設レイアウトの計画等についてはご相談ください。
当社では豊富なバックデータを基に、正確な作業量の把握、重機の燃料消費量など、精度の高い試算を行うことも可能です。
設備能力の増強
設備の能力増強は、単純な仕事量の引き上げだけではありません。
使用頻度や原料との相性、耐久性、メンテナンス性、レイアウトなど、多くの要素から適切な機種選定を行う必要があります。
通気を改善する
通気方法の改善によって、処理量の増加が図れるケースがあります。
特に、
- 通気設備を有していない
- 通気の目詰まりが多い
- 通気管のピッチが広い
- 空気の通り道が出来てしまう
- 発酵温度が上がりにくく、冬になると温度低下が激しい
などの状況に該当する場合、通気改善により大きく処理量を増やせる可能性があります。
堆積型発酵槽の通気改善
堆積型発酵槽で通気設備を有していない場合、ブロワ等の通気設備を後付けで設置することは困難です。
コンクリート表面から深さ4cm程度の位置に鉄筋があり(かぶり厚さ、と言います)、ブロワ配管の溝(一般的には10cm程度です)を施工することができません。
この深さの溝を施工するには、コンクリートを一度はつって、再度のコンクリート打設が必要となり、施工費用が高額になります。
ロータリー、スクープ槽の通気改善
ロータリー、スクープ型発酵槽で、温度の立ち上がりが遅い、原料が泥状化するなどといった症状が現れる事があります。
ロータリーやスクープの特徴として、発酵槽内の原料の滞留時間が決まっているため、発酵初期の温度をいかに早く立ち上げるかが重要になります。
処理物と副資材の配合や種類を変える
処理量を増やすに当たり比較的コストのかからない方法として、原料と副資材との配合を変えたり、副資材の種類を変更したりする方法もあります。
原料と副資材の配合を変える
原料と副資材の配合が適切でない場合、配合を適正なものに変更することで発酵状況が改善し、処理量が増加する場合があります。
改善例として、発酵温度の上昇、発酵期間の短縮による処理量の増加などが挙げられます。
処理時間を短縮する
堆肥化施設が、前処理、発酵、後処理など、複数の処理工程に分かれている場合、それぞれの能力が整合している必要があります。
例えば発酵工程の能力が100あるのに前処理工程の能力が80しかなければ、その分ロスが生まれます。これらを整合させることで、処理能力が向上します。
前処理工程
- 仕込作業の能力アップ、仕込作業の自動化、スペースの縮小など
- 破砕・粉砕装置の追加や能力改善など
- 破袋装置の追加や能力改善など
発酵工程
- 通気設備の追加
- 発酵工程の通気改善
- 堆肥の熟成工程の改善
後処理工程
- 堆肥の乾燥工程の追加や改善
- ふるい分け装置の追加や能力アップ、処理物の性状にあわせた仕様の変更
- 袋詰め工程の自動化や能力アップ、処理物の性状にあわせた仕様変更
- ペレタイザーの仕様見直し