トマト残さの堆肥化によるリサイクル、CO2削減(いわき小名浜菜園さま)
高含水率原料の堆肥化で泥状化していた状況を、通気改善により発酵温度上昇、悪臭低減などで改善した事例です。
- 導入した商品
- イージージェット
- 納入先・場所
- 福島県/カゴメ いわき小名浜菜園株式会社さま
- 処理物
- トマト残さ(葉、茎、実) 45m3/日
- 課題
- 高含水率原料が泥状化して堆肥化が進まない
いわき小名浜菜園株式会社さまの堆肥化概要
カゴメ株式会社が出資する いわき小名浜菜園株式会社さまに、トマト残さの堆肥化システムとしてイージージェットを採用いただいた概要をご紹介します。
当施設は養液による栽培農場としては国内最大規模のトマト農場で、20ha(東京ドーム4個分)の広さを誇るハイテク菜園です。
実施策と効果
通気の改善による処理量の増加 | ロータリー槽発酵で泥状化していた高含水のトマト残渣を、イージージェットの導入により安定発酵させ、処理量を増やしました |
発酵不全の解消による悪臭の低減 | イージージェット導入により発酵が安定し、悪臭を大幅に低減できました |
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通気の改善による発酵温度上昇 | イージージェット導入により、これまで30-40℃だった発酵温度が、60-70℃まで上昇しました |
電気代の抑制によるコストダウン | 従来のブロワ式から高圧通気方式に変更したことで、電気代を30%削減できました |
副資材の配合や種類の変更による堆肥品質アップ | 副資材の種類と量を見直すことで、堆肥化処理が安定し、堆肥の品質が向上しました |
導入前のお悩み
同農場では“こくみトマト”のブランドで生食用トマトを栽培しており、年間生産量は3,000トン。
栽培の際に剪定する葉や茎の量は1日に40立米(5トン)にもなります。
これら葉や茎はこれまでも堆肥化していましたが、トマト残さの含水率は90%と高いため発酵しづらく、堆肥のさらなる高品質化をどのように行うかが課題でした。
これまではロータリー型の撹拌装置と床面からのブロワ通気で堆肥化を行っていましたが、ブロワ通気は清掃などのメンテナンスが必要なうえ、発酵が安定しない点などが問題でした。
『イージージェット』の導入
そこで通気部分を当社のイージージェットに変更し、発酵期間の短縮と発酵温度の上昇を図りました。
すると、使用開始後すぐに発酵温度が70℃以上に達し、現時点で堆肥化は順調に進んでいます。
さらに堆肥生産のための電力使用量を以前より20%抑え、電力コストとCO2排出量の削減も実現しました。
トマトは他の水耕栽培作物と比べ、多量の残さ(茎や葉など)が出ます。当社では、こうした残さを効率よく堆肥化し、処理コストを削減するためのご提案を行っています。
導入後
当施設では1日に40立米のトマト残さ(主に剪定した茎、葉、季節によっては商品にならない実なども大量に入る)が排出され、これを20日間で堆肥化しています。
搬入したトマト残さはまず破砕機でカットされ、ロータリー撹拌槽に投入されます。撹拌槽の床面にはイージージェットが敷設され、発酵を促進します。
青々とした葉や茎が好気性微生物によって分解され、翌日には温度が70℃以上に達し、数日間で茶色く変化します。
完成した堆肥は、近隣の農家や一般需要者に販売されます。
発酵当初の様子
トマト残さの拡大写真発酵
数日後の様子
イージージェット敷設部分は酸素濃度も良好な状態を示しています。
発酵温度についても、冬期において70℃以上を記録しており、順調と言えます。
まとめ
食品系残さのリサイクルの場合、その堆肥化ノウハウは家畜糞などとはかなり異なります。
そのため設置後の運転管理がとても重要で、当社としても力を入れている部分です。
当施設の場合、12月訪問時も発酵温度は70℃以上を維持し続けており、堆肥化も順調に行われていました。
納入前は発酵温度も十分に上がらず、さらに発酵時の臭気などが課題でしたが、現在ではその両方が解消されています。
導入した商品のご紹介
堆肥化装置
イージージェット
切り返し不要の堆肥化設備
特殊ノズルが内部まで酸素を供給するから、重機による切り返し不要で手間いらず。冬季の高温発酵を実現し、良質な堆肥生産を可能にします。