20日間で堆肥化。臭気対策で地域に信頼される施設へ
株式会社アース・コーポレーション 長野支店様
長野支店様では、昭和の時代から食品汚泥+食品残渣の堆肥化に取り組んでおられます。新しい堆肥化施設を立ち上げる際、課題となったのが「臭気」でした。周辺地域との共生を大切にしながら、堆肥の安定生産と臭気対策を両立させた取り組みについて、お話を伺いました。
臭気トラブルをゼロへ。地域との共生が何よりも大切
「とにかく最初は、臭いへのクレームが大変でした」。そう振り返るのは、長野支店で堆肥化事業を統括する市川様。当時新しく堆肥化施設を建てた場所は、住宅地にも近く、また過去に他社が堆肥化を行った際に大変な悪臭があったため、近隣住民から厳しいお声を頂いていた跡地でした。そのため、後から参入した長野支店様にとっても堆肥化の臭気が一番の懸念点でした。法的には規制をクリアしていても、住民の声に応えるために、自主的な対策が求められたのです。
まず着手したのは、臭気の「見える化」。発生源を特定するため、センサーによるモニタリングとログ取得を徹底。臭気が高まった際に自動でファンを稼働させるシステムを導入することで、ピンポイントでの制御が可能になりました。
「屋根にウレタン防水を施しただけで、クレームが激減しました。意外と見落とされがちな場所から漏れていたんですね」。
地元住民や区長も交えた説明会も開催。「隠さずオープンにすることが、信頼関係につながった」と語ります。
何年もかけて、住民の方々に納得していただけるよう尽力されました。
それでも、従来のブロワ方式ではまだまだ酸素供給が不足しており、未消化や悪臭の原因となっていました。そこで導入したのが、ミライエの堆肥化装置です。
イージージェット、ヒータレス温風機の導入で、臭気指数も大きく改善
徹底した原料管理と、発酵槽から出る臭気の低減にも力を入れる中で、その一環としてイージージェットとヒータレス温風機を導入されました。
「原料投入後2日目には温度がしっかり上がり、安定した発酵につながっている」と評価してくださっています。
堆肥化工程においては、水分調整や副資材の工夫により、およそ20日間の堆積で堆肥化を完了。
また、気温がマイナス10℃に下がる冬場や40℃近くまで上がる夏場でも、発酵槽内部の温度は80℃前後まで上昇し、ブロワとイージージェットの併用により十分な発酵状態になります。厳しい環境条件でも、安定した堆肥化が実現できている点は大きな強みです。
堆肥は現在、県内外の農家さんに幅広く利用されており、「作物の品質が向上した」「収量が増えた」といった評価が口コミで広がっています。
安定した堆肥品質と出荷体制づくりへ
臭気問題の解消だけでなく、堆肥そのものの品質や生産性にも気を配られています。副資材の配合や季節ごとの水分調整、ふるい分けなどを丁寧に行い、現在では年平均14,000トンの原料を処理し、約4,000トンの製品を出荷。
「堆肥の需要期が春と秋に集中するので、農家さんに保管場所を確保してもらうなどの工夫もしています」と語ってくださいました。口コミで大規模農家からの採用も増え、今では野沢菜などの土壌改良資材としても好評を得ているそうです。
今後の期待と課題
施設運営の中で、現場の床面の摩耗など、ハード面の改善への要望も聞かれました。
「ローダーで削れる部分をガイドで守るような設計があるとありがたいですね。コストと耐久性のバランスが難しいですが、改善の余地があると思います」。
というご意見をいただき、今後の装置改善へも期待を寄せてくださっています。
地域とともにある堆肥化事業。そのためにも見えない課題と向き合い、着実に改善を積み重ねる長野支店様の取り組みは、全国の施設にとっても大きなヒントになりそうです。

左は(株)アース・コーポレーション 長野支店:市川様、右は弊社代表:島田
お客様について

株式会社アース・コーポレーション 長野支店 様
(株)アース・コーポレーション 長野支店様は、長野県大町市に拠点を置き、もともと水処理事業を主軸に地域の環境インフラを支えてきました。昭和50年代より堆肥化事業にもいち早く取り組み、地域の資源循環と環境保全に貢献。現在では、年間約14,000トンの原料を受け入れ、農業分野に高品質な堆肥を安定供給しています。地域との共生を大切にし、臭気対策や品質向上にも積極的に取り組む姿勢が、多くの農家や関係者から信頼を集めています。