高水分(含水率95%)豚糞を副資材なしで堆肥化処理(導入先:中村産業様)
豚糞の堆肥化で、発酵初期の通気を、ブロワから高圧通気に切り替えることで発酵温度が大きく上昇した事例を紹介します。
- 導入した商品
- イージージェット
- 納入先・場所
- 長崎県/中村産業様
- 処理物
- 豚糞10t/日 母豚1,400頭の固液分離糞(含水率95%)
- 課題
- 含水率95%の豚糞のため、発酵温度がなかなか上がらない
中村産業様の堆肥化概要
母豚1,400頭(総数15,000頭)の規模で、スノコ豚舎方式で飼育している場合の事例です。流下した糞尿は固液分離され、分離後の固形分は含水率95%、発生量は1日10トンに及びます(液体は汚水処理)。副資材はオガコを使用していました。

含水率95%の豚糞を投入した様子
イージージェット導入後
1日の豚糞10トンのうち半分の5トンを、イージージェットとロータリー撹拌機を利用して、エンドレスに発酵・乾燥しています。
含水率95%あった原料を、含水率35%まで下げることが出来ました。
こうして戻し堆肥として十分使用できるようになった原料は、豚舎で敷料として
活用が出来ます。
高騰するおが粉の代替品として、自社堆肥を活用する施設が増えてきています。

発酵・乾燥終了後の戻し堆肥の状態(含水率35%)
具体的な運用方法

ロータリー発酵槽の見取り図
上記はロータリー発酵槽の見取り図ですが、全長の20%にあたる32m部分の床面(赤の囲み部分)に、イージージェットが埋設されています。
この部分に、戻し堆肥の上から毎日高水分の糞尿を投入して使用します。
投入された高水分の糞尿は、ロータリー槽を1周する間に含水率45%まで低下していますので、再度高水分の糞尿をかけることができます。
イージージェット導入のメリット
この方法の優れている点は、
(1)副資材を利用しない(すべて戻し堆肥で賄う)ため、副資材購入コストが不要。
(2)堆肥の取り出し作業がほとんどない。
という点です。
特に(1)は、近年の木質資材の高騰から、コストダウンに大きく貢献します。
堆肥舎で堆肥化させる方式と比べると、単純な堆肥化方式では95%の含水率の糞尿10t/日を処理するためには5.6t(約15m3/日-20m3/日)の副資材が必要ですから、1m3=800円で計算すると副資材の購入費だけで年間400万円を超えてしまいます。
また、90日間で発酵させるとして、1千㎡超の堆肥舎が必要になります。
イージージェット導入ありなしの発酵温度の比較

左:イージージェットなし 右:イージージェットあり
上記は同原料、同時開始の条件で、イージージェットを使用していない区、使用した区を比較した時のものです。
このように、発酵温度に大きな差が生じ、乾燥状態にも明らかな差があらわれました。
発酵槽内の発酵温度が低いと水分蒸散効果も下がりますので、冬季になるとイージージェットなしの発酵槽では乾燥能率が3割も低下してしまいました(通常期は糞尿5tのところ、冬季は3.5t/日程度しか処理できない。それ以上投入すると戻し堆肥にならない)。
この場合、仮にもう1基増設ということになると、400㎡程度のハウス堆肥舎とロータリー撹拌機などの導入費で1千万円を超えてしまいますし、たとえ増設しても発酵温度が上がらなければ、防疫面での課題が残されたままです。
イージージェットを導入すれば、発酵温度もしっかり上がり、コストも抑えられます。
糞尿処理能力の低下は農場の環境面や防疫面にも大きく影響しますので、早めに対策されることをお勧めします。
イージージェットは既設の発酵施設にも設置可能ですので、お気軽に弊社までお問い合わせください。